不動産取引は法律行為
法格言「権利の上に眠る者は保護に値せず」
不動産取引は法律行為です。
民法しかり、宅地建物取引業法、借地借家法、消費者保護法、商人間の取引であれば商法など他、多様な法の下で行われる法取引です。
しかしながら、不動産の法的取引を行うに必要とされる、宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者、以下、宅建取引士と称す)のライセンスは事業所5人の内、1人が取得していれば良いとされています。
さらに宅建取引士の知識のみでは、多様な不動産トラブルを未然に防ぐ未然に防ぐには不足しており、経験値と知識の向上が不可欠です。
売買契約書に記載がなかったことにより損害賠償請求されたり、1ルームマンションの賃貸借契約でも、裁判まで発展するトラブルでも実際にあります。
まずは不動産取引を円滑に進めるに大切なのは、重要事項説明書と契約書の整備です。
契約書類は「何が記載されいるか」と 「何が記載されていないのか?」を把握することが重要なポイントです。
記載されていない不備は売主、賃貸人側にリスクが及びます。
賃貸契約書で賃貸物件内での事故について「賃貸人は一切責任を負わない」という一方的な条文は借地借家法では無効となり、民法に差し戻されることがあります。
逆に責任範囲を明確にすることで、トラブルを抑止できます。
なお、瑕疵担保責任(瑕疵担保責任という名称が契約不適合責任に移行予定)については今後、特に明確化するべき様に法改正が進む傾向です。
宅建業者ではない法人間の間で売買の例にあげると、よく民法上の瑕疵担保、宅建業法上の瑕疵担保についてはご存知の方も多いですが、商人間の取引の場合、商法526条瑕疵担保責任が関わってきます。
瑕疵担保責任について明記がない場合は、瑕疵担保責任がありますし、逆に瑕疵担保責任を排除する明記をすれば取り除くこともできます。
賃貸借契約には、契約途中の解約が具備されていることが一般的です。しかし、この解約条項が契約書に記載がない場合、どうなるでしょうか。
実は契約期限まで中途解約ができません。現に上場会社同士で締結された賃貸借契約で、重要事項説明書には中途解約は6ヶ月前と記載があるのですが、賃貸借契約には解約条項の明記がなく、結果的には賃借人は自社ビルを竣工したにも関わらず、1ヶ月数千万に及ぶ賃料を契約終了まで払い続けることになりました。
この様に、重要事項説明書、契約書には何が明記されていて、何が明記されていないかを、契約の趣旨と鑑みて法と照らし合わせることが重要です。
意外に、ふとした内容で大きな痛手を負う、またはすでに違法行為に発展している事案は珍しくありません。
不動産の契約は法令順守と倫理が大事であることは、言うまでもありません。